一日を終えたOLが夜道を歩いていると背後から気配を感じたので振り返ると誰もいなかった。

「気のせいか・・・」

再び歩き出すと突然金縛りに襲われたかの如く体が動かなくなった。前へ進もうにも体はびくともしない。
すると彼女の目の前には顔中血まみれの人物が姿を現したのだ。

「キャーッ!!!」
驚いた彼女はその場から逃げようとするも体が動かない。その間にも血まみれ顔の人物は唸り声をあげると彼女の全身が血に染まってゆき、血の跡を残して消えてしまった。

ところ変わってとあるホテルで家族連れがエレベーターに乗ると父親が目的の階と戸閉ボタンを押し、エレベーターは上昇してゆく。途中の階で停止し、誰か乗り込むと思いきや何故か誰もいなかった。いたずらなのか待ちくたびれてあきらめたのか考えながらも再び閉ボタンを押して目的の階へ上昇するかと思いきや何故か下に向かって動き出した。

異変を感じた父は最寄りの階を押して出ようとするが、扉は開いているのに外に出ようとすると何もないのに跳ね返されてしまう。
そして扉が閉まると再び上昇した。

妻子は異様な状況に気分が悪くなってしまい、父は今度こそ最寄りの階で出ようとするが、ボタンを押しても反応はなかった。そして・・・

ガタン

エレベーターは突然停止し、一家は閉じ込められてしまう。父は非常ボタンで外部に連絡を取ろうとするが、押しても反応はなかった。絶望的な状況に妻子は夫に縋りつく。

(何とか繋がってくれ・・・)
父は祈りながら何度も非常ボタンを押すが、何回やっても反応はない。

すると突然電気が消えた。エレベーター故障に停電とダブルパンチで不運に見舞われた一家。そんな家族の前に突然顔中血まみれの人物が姿を現した。
奴が現れると一家は体が動かせなくなってしまい、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。

血まみれ顔の人物は何かを念ずるとエレベーターは急上昇して天井に激突し、その後最下層まで落下した。衝撃に次ぐ衝撃に一家は遂に気を失ってしまう。それを見た血まみれ顔の人物は唸り声をあげると一家の全身が血に染まってゆき、血の跡を残して消えてしまった。

相次ぐ不可解な怪事件にサニーは調査に乗り出すも目撃者は誰もおらず証拠も残ってなかった。現場に残されていたのは血の跡だけだった。
これが事件じゃなかったら一体何だというのか・・・サニーは考えた末霊的なことではないかと思い、霊能力者に調査してもらった。

霊能力者のブロッサムは霊気を調べるが、霊が現れる気配はない。
霊や妖怪も無関係だったのか・・・捜査が完全に行き詰りかけたその時だった。

「危ないっ!」

ブロッサムは叫ぶ。どうやら強い霊気を感じたようでそれがサニーに向かっていった。ブロッサムはサニーに向かう霊を引き留めるが、怨念がすさまじく抑え込むのに精一杯だった。

何とか抑え込んだブロッサムは霊力を使って姿を出させると顔中が血まみれの霊が出てきた。霊はサニーに対し殺意に満ちた表情を浮かべながら興奮していた。
ブロッサムは霊を落ち着かせるといろいろ聞きだした。

「あなたは生前日課の散歩をしていたところ高齢ドライバーの暴走車に撥ねられて事故死してそれ以来現世で生きてる人間が許せなくなって仲間にしようとしていたのね。自分を撥ねたドライバーは証拠隠滅や逃亡の恐れがないのを理由に逮捕されずに処罰もなく野放しになったことへの憤りから警察も恨むようになり、刑事であるサニーに襲い掛かったと。」

霊の過去を聞いたサニーは何とも言えない表情を浮かべた。

「あなたの感情はよくわかる。けどねこんなことしても恨みは晴れないでしょ?話を聞いてすっきりしたならもう成仏しなさい。」
ブロッサムは霊力を使い、霊を成仏させた。これでもう怪現象は起きないだろうとサニーは安堵した。

数日後、またも暴走車が歩道に乗り上げ登校中の子供らが撥ねられた。現場の惨状は酷く死傷者が多数出る事態となった。
現場周辺には多くのマスコミが取材に来てたが、マスコミは周辺住民の生活を脅かしていた。マスコミが取材のためなら暴力行為や破壊行為も平然とやるサイコパスなので住民はマスコミに殺されるのを恐れていた。

「あいつ殺して記事にしない?」
「それいいね、やろうぜ!」

マスコミが通行人に襲い掛かろうとした時だった。突然彼らは身動きが取れなくなってしまう。そんな彼らの前には顔中血まみれの人物が現れた。マスコミは思わぬ収穫とばかりに記事にしようとするが、血まみれ顔の人物は唸り声をあげるとマスコミは一斉に血に染まり、血の跡を残して消滅した。

そして血まみれ顔の人物は何処かへと消えた。奴がその後どうなったのか新たな被害は発生したのかそれは誰にも分からない。奴が起こした怪事件は我々も他人ごとではないかもしれないだろう。

終わり

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